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ゴールへの戦略を立てて登り続けたい。スポーツクライマー 大田理裟さんインタビュー

周南市にある山口県立新南陽高校出身で、スポーツクライマーとしても活躍中の大田 理裟さんにインタビューしてきました。

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(インタビュアー:酒井 菜奈)
( フォトグラファー:川上 優)

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クライミングを始めたきっかけは?


酒井:
大田さん、今日はよろしくお願いします!
さっそくですが大田さんがクライミングを始められたきっかけは何でしょう?
大田:
私は、子どもの時から家の庭の木に登ったり、アスレチックでも高い所に登って頂上から手を振ったりと、幼少期から高い所が好きエピソードがあったんですけど、中学2年生の時、当時新南陽高校の教師で、登山部の顧問でもあった父からクライミングに向いてるんじゃないか?と言われたことがきっかけで始めました。
新南陽高校に進学したのもクライミングを高校の部活動として続けるためですね。

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酒井:

なるほど、生まれついての高い所が好きという性格に加えて、お父様からの勧めがあってスポーツクライミングの道につながったのですね!
クライミングを始めたのは中学2年生からとのことですが、それより以前は何かスポーツなどはされていたんですか?
大田:
3歳から中学1年生まではクラシックバレエをやってました。
中学校に入学してすぐの時はテニスのユニホームに憧れてソフトテニス部に入部したりもしたんですけど、球技が苦手でしっくりこなくて…結局試合に出る前に1年で辞めちゃいました。
他には水泳、習字、そろばん、囲碁もやりましたね!
とにかく好奇心旺盛だったので、いろんなことにチャレンジはしてみたのですが、どれもあまり長続きしませんでした。
そんな中でも、続けていたのはバレエだったんですけど、クライミングに出会ってしまったので……クライミングは飽きずに続いてます(笑)

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酒井:
スポーツに限らずそんなに色々なことにチャレンジされていたのは驚きでした!ここまでクライミングを続けてこられているということは、この競技が大田さんにピッタリ合っている実感があるのでしょうか?
大田:
中学2年生からなのでもう15年くらい続けているんですけど、その中で飽きたことって一度も無いんですよ。
高い所が好きということも大きいですが、クライミングを始めた直後に12メートルの壁をいきなり登ることができたんです。それでクライミングが自分に向いてるなと思うようになって楽しく続けてこれましたね。
今も登頂できた時の達成感や、高い所から周りの景色を見渡した時の気持ちよさがモチベーションの向上に繋がってます!

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酒井:
まさにクライミングの申し子ですね!日常の中でも背の高いものを見ると登りたくなりますか?
大田:
なりますね!スポーツクライミングとは別にロッククライミングもするんですけど、岩場を200メートル登ったこともあるので、なんなら東京タワーも登り切れると思ってます(笑)
酒井:
岩場を200メートル!!もはや全然想像できない高さなんですけど、私には絶対怖くて無理だということだけ確信できます…
ちなみに周南コンビナートの工場には高さ200メートルの煙突がありますけど、この煙突に登れちゃいますか?
大田:
スマホの厚さ程度の引っ掛かりがあれば登れると思います!今いるこの新南陽高校の校舎も登れるなと思ってますし、暇な時とかについ登れそうな所を探しちゃうのは職業病ですね(笑)
酒井:
大田さんの視点だと私が普段目にしている風景なども違って見えそうですね!ちょっと体験してみたいかも…!

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クライミングの魅力は?


酒井:
クライミングが日常の大田さんにとって、このスポーツの魅力はどんなところにありますか?
大田:
クライミングは自分の成長がすごく分かりやすいスポーツなんです。昨日と同じ課題を登れば、昨日自分が落ちてしまった所が今日の自分が越えるべきラインとして明確に見えますし、そのラインを超えることで以前の自分よりも成長できたことを実感でき、その成長を感じるのが楽しくてもっと頑張ろうって思えますね。
1年、2年かけてクライミングの難しいルートを攻略することもあります。日々のトレーニングを経て出場した大会でゴールを掴んだ時の達成感は何物にも代えがたいです!
酒井:
たしかに目指すべきゴールが目の前に見えているというのはやる気を奮い起こされそうですね!

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トレーニングについて

酒井:
トレーニングではどんなことをされていますか?
大田:
厚さ3ミリのホールドを掴み損ねた時は、単純にそのホールドを掴むため、同じ厚さのホールドを使って懸垂をしてフィジカルを鍛えたりします(笑)
それと私が今メインで取り組んでいる「リード」という種目は、高さ15メートルの壁を6分の制限時間中にロープをかけながら登っていく競技なのですが、ボルダリングという種目を短距離走だとすると、リードは持久走なので、体力を温存しながら15メートルを登っていくためのイメージトレーニングが重要になってきますね。
酒井:
肉体的な強さだけではなく、ゴールまでの道筋を戦略立てていく想像力も必要なんですね。実際の競技を見る時には、選手たちがどんなルートで登って行くのかにも注目してみようと思います。

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周南市の思い出

酒井:
ここからは話題を変えて大田さんの周南市での思い出などを伺っていきます。
まず、今インタビューをさせていただいているこの新南陽高校で思い出深い場所はありますか?
大田:
何と言っても体育館ですね!朝も夜も練習してましたから誰よりも体育館にいた自信があります!
もう登ることに慣れ過ぎて逆に普通に平地を歩く方が疲れたりしてました(笑)
酒井:
登るより歩く方が疲れるというのはさすがに共感できないです!(笑)
でも、それほどまで練習していたから、今の大田さんの実績があるということですね。
学校以外で印象深いスポットや経験はありますか?
大田:
高校生の時に国体で優勝したことでJR徳山駅前で行われた冬のツリー祭りのステージに登壇させてもらえたことがあって、私にとって大勢の人の前に立つというのはその時が初めての体験だったんですけど、たくさんの皆さまの応援してくれる声が、凄く嬉しかったのを今でも覚えています。
イルミネーションで駅前の通り全体がキラキラしていたのもすごく美しくて、その光景とセットですごく記憶に残っています。
酒井:
情景が思い浮かぶお話ですね。
今でも駅前の通りは、毎年クリスマスシーズンのイルミネーションは続いてますので、ぜひまた当時のことを思い出しに見に来てください♪

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周南市を離れて気づいた周南市の魅力


酒井:
周南市を離れてから気づいた周南市の魅力はありますか?
大田:
周南市を離れて改めてすごいと思ったのは、やっぱり工場夜景ですね。
遠征の帰りに新幹線の窓から工場夜景が見えると、この景色は周南市ならではだなって思いますし、周南市に住んで居た時に、毎日のように見ていた工場の灯かりは今でも心を穏やかにしてくれますね。
酒井:
実は私も一時期周南市を離れていたんですけど、帰省する時にはいつも工場夜景を見て地元に戻ってきた安心感を得ていたので、大田さんも同じような気持ちを持っていると知れて嬉しいです。

こころがつながった瞬間

酒井:
それでは最後の質問です!
今周南市が掲げているキャッチコピーが『ここから、こころつながる。周南市』なのですが、大田さんの中で「こころがつながった!」と感じたエピソードはありますか?
大田:
クライミングは個人競技なので大勢の人と気持ちを分かち合うっていうことがあんまり無いんです。
でも高校2年生の時にクライミングの日本代表に選出されて世界大会行きが決まった際、地域の方や周南市の企業の方々が後援会を立ち上げて壮行会を開いてくださり、何十人もの人が応援の言葉を掛けて大会に送り出していただきました。
さっきお話ししたツリー祭りの時にも感じたことなんですけど、直接声援を届けていただき、沢山の人とこころがつながり、うれしさや安心感を感じることができたと思っています。
酒井:
素敵なエピソードをありがとうございます。
常に努力を続けてこられた大田さんだからこそ生まれた素敵な瞬間ですね。今は、コロナ禍で大変な世の中ですが、大田さんのひた向きな姿に多くの方が勇気づけられていると思いますし、私もいつか大田さんの試合で直接声援を送ってこころつながりたいです。
大田さん、今日はありがとうございました!

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大田理裟さんプロフィール

スポーツクライマー
1993年1月27日生まれ、山口県出身。
競技歴
2009-2012 JOCジュニアオリンピック大会 4年連続優勝
2014 リードジャパンカップ優勝、アジア選手権 準優勝
2015 ワールドカップフランス大会 5位、世界ランキング8位!
2016•2017 リード日本選手権 準優勝
大分国体からリード 5回•ボルダリング4回 優勝

フォトグラファー 川上 優


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