徳山動物園の飼育員さんにインタビュー「甘えん坊は誰?」勝手にランキング!
動物園の飼育員さんには、動物たちはかわいい姿をきっと見せているに違いない。そんな発想から「甘えん坊ランキング」をテーマに取材をすることにしました。
令和3年12月5日から始まった、周南市市民ライター講座。1日目は、有限会社ノオトの宮脇淳さんを講師に迎え、ライターになるためのノウハウや心構えを学びました。2日目はカメラマンの嶋畑勤さんを講師に迎え写真の撮り方について学びました。
そして講座3日目の12月18日。実際に徳山動物園を取材し、記事を書く実習です。雪が降りそうな寒い朝、緊張とワクワクが入り混じりながら、徳山動物園へと向かいました。
JR徳山駅から北へ。緩やかな坂道を登りつつ進むと、国道2号線より少し高い場所に見えてくるのが徳山動物園。昭和35年に開園し、ゾウやキリンなど多くの動物たちが暮らしています。
令和 3 年 11月にはリニューアル第5弾として「アジアの熱帯雨林ゾーン」がオープン!生物の多様性が感じられるエリアとなっています。(現在も引き続きリニューアル工事は進行中です。)
さて、仕事中の飼育員さんに申し訳なく思いつつ取材開始です。
限られた時間で取材を終え、取材で浮ついた気持ちはなりをひそめ、反対に「これを伝えたい!」という気持ちが湧き上がります。
「ギャップ萌え」という観点でライターが選んだ徳山動物園の甘えん坊な動物BEST3のかわいさをご紹介していきましょう。
1位 インドクジャク
インドクジャクのかわいいところと言えば、飾り羽を広げた姿を想像する方が多いと思います。しかし、飼育担当の田中望さんは「顔」を挙げられました。このオスのインドクジャクはとても協力的。人工育雛(いくすう)で育ったからそうなったのかも、というお話です。クジャクは、オス同士が一緒にいるとケンカが始まることもしばしば。このインドクジャクを見ていると
本当にそうなのかな……
と思いました。
しかし、指で顔に触れたり、喉の下を撫でられたりされ飼育員に甘えるインドクジャクの顔は、まさに説明通り。優雅な姿とは裏腹な甘えん坊でした。
このケージで暮らす鳥たちは、基本的に皆仲良しで穏やかに暮らしています。穏やかな環境も、穏やかな性格を育てているのかもしれませんね。
2位 パルマワラビー
野生では単体または2~3頭で行動する、臆病な性質のパルマワラビー。園内でも、飼育員さんがケージに入ると、後ずさりすることもあるとか。しかし、4頭のうち、メスのメルシーは人なつっこく、飼育員さんに自ら寄っていき、体を触らせてくれたり、たまに作業服をかじって「私はここよ」とアピールしたりするそうです。人工哺育で育ったメルシーは幼い頃から人に接する機会が多く「人はこわくないもの」と思っているようでとても甘えたがり。
長い尻尾が魅力のパルマワラビー。うつ伏せで顔の前に尻尾を出してくつろぐ姿はとても愛らしいです。
3 位 ツキノワグマ
大きな口を開けてご飯を待つのは、ツキノワグマのオス「ヨウタ」くん。飼育担当の柴田智子さん曰く
「私が近付くと、声や足音を聴き分けて、起き上がって近寄ってくるんですよ」
とのこと。大きな体にも関わらず甘えん坊でとてもかわいいですね!
ツキノワグマは、野生では 10 歳前後が寿命ですが、ヨウタくんはなんと 28 歳。人間でいうと後期高齢者に相当する年齢なのだとか。彼の長生きの秘訣は、安定した食事と健康管理で、最近は負担のかからない健康管理の訓練をしているそうです。
笛の音を覚え、飼育員さんが手を前に出したら同じ動作をして、じっとする訓練をすることで、麻酔なしで口のチェックをしたり、爪を切ったりすることに慣れてもらうそうです。一生懸命訓練している姿に、とても元気をもらいました。
終わりに
飼育動物は、ペットではない
もっと動物の話を聞きたいと思っていた時、トラやライオンを担当する平岡大宙さんにお話を伺うことができました。
目を閉じてリラックスするトラ。思わず飼っているネコを思い出す、かわいらしい姿です。 しかし平岡さんは
「動物園の飼育動物はペットとは違います」
と語ります。どんなにかわいらしく、愛嬌があっても、彼らは猛獣に違いないのだ、と。
動物たちは、飼育員の視線をしっかりと観察していているそうです。隙を見せた状態で手を伸ばす行為は、大変危険なことなのだとか。
飼育されていても、内に秘めた野生が消えることはありません。いつ、彼らが我々を獲物と認識してくるのか分からないのです。
特別に、ライオンに段ボールを渡してもらいました。すると・・・
分厚い段ボールが、まるで紙切れのように一瞬で引き裂かれました。
あっという間の出来事に、驚きを隠せません。 飼育員さんは、こうした動物たちを理解しながら、しっかりと動物たちとの距離を認識し、来園する皆さんが安全に動物たちと会えるように配慮しているんですね。
物園の動物たちは、決してペットではない。動物たちの甘えん坊な一面に思わずときめくことはありますが、そのことも、ちょっと頭の片隅に留めて園内を歩いてみてくださいね。
記事・写真:周南市市民ライター 沖本道代,亀谷忠史,阿部裕子,伊藤光彩
執筆時期:2021年12月
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