簡単には築けない信頼関係。ゾウと飼育員の絆に隠された5つの秘訣とは?
みなさんこんにちは。周南市市民ライターの紗希です。
実は私
周南市のまちなかにある「徳山動物園」が大好きで、月に2回は訪れています。
そんな大好きな徳山動物園を舞台に、先日、周南市民ライターとして初めての取材をすることになり、ゾウの飼育員さんにインタビューすることができたので、以前から気になっていたことを伺ってきました。
今回は、その内容をお伝えします。
見えてきたのは信頼関係
私が以前から気になっていたこととは、ゾウの芸のこと。
今回、話を聞く中で見えてきたのは「ゾウと飼育員の信頼関係」。
それは私たち人間にも通じるようなお話で。
私たちも、ゾウと飼育員のような関係になれば、自分の家族やパートナーと、より良い関係が結べるのかな。
と考えてしまうほどでした。
ベテラン飼育員に直撃インタビュー
今回、インタビューに答えてくださったのは、飼育員の小田原多衣子さん。2002年からこの徳山動物園に勤務されているベテラン飼育員です。
紗希ライター:
早速ですが、以前徳山動物園を訪れたとき、ゾウが飼育員の前で、足を上げているのを見たのですが、これにはなにか意味があるのですか?
小田原飼育員:
足を上げるのは、足を洗うとか、爪の汚れを取るためなんです。
ゾウは、毎日、朝・夕の2回足を洗うんですよ。
爪の間にも汚れが入っていたりするので、溜まらないように毎日洗っています。あとは、爪が伸びすぎていないかもチェックしています。
紗希ライター:
ゾウが飼育員の前で足を上げているのは、足の健康を保つためなのですね。
でも信頼関係で結ばれていないと、ゾウに足を上げてもらうことは難しいと思うのですが、どのようにトレーニングして信頼関係を築いていらっしゃるのですか?
小田原飼育員:
そうですね。トレーニングというよりも、ゾウとなるべく長い時間を一緒に過ごしたり、声をかけてあげたりすることで、ゾウと信頼関係を築くことが一番大切なことです。
あと、ゾウに直接餌をあげることで少しずつ、ゾウに、「この人、私のお世話をしてくれる人なのかな、エサをくれる人なのかな」と認識してもらっています。
紗希ライター:
なるほど。
まずはゾウにお世話係なのだと認めてもらうことが大切なんですね。
他にも、小田原さんがゾウと信頼関係を築くためにされていることはありますか。
小田原飼育員:
あとは朝一番、ゾウに「おはよう」と挨拶したり、「今日は寒いね」と、何気なく話しかけたりしています。
紗希ライター:
・・・ゾウとおはなししているということですか。
小田原飼育員:
そうですね、よく話しかけていますね。
あとは、ゾウをよく観察することですね。観察することで、「あれ、ゾウは今ここが気になるのか!」と気づくことができるので。
紗希ライター:
そういえば、ゾウも便秘になると聞いたことがあるのですが、
それも観察によって分かるのですか?
小田原飼育員:
はい、分かります。
朝来たときに、「あれ、今日はうんちの量が少ないな」ということや、「普段はしない動きをするなあ」など、そういうところを観察して、便秘を察知しています。
そのためにも、普段の健康な状態をインプットしておくことが大事ですね。
紗希ライター:
なるほど。普段の健康な状態を把握しているから、ゾウの体調の変化に気がつくことができるんですね。
ゾウが怒り出した・・・!?
取材をしていたそのとき・・・
ゾウが「パオーン」ではなく、「ガオガオー!」と鳴いてバタバタと足踏み!!
紗希ライター:
この「ガオガオー」と鳴いているのは、いま私が小田原さんと話しているから、「あっちいけー!」と怒っているのでしょうか。
小田原飼育員:
いえ、今日は寒いので、ゾウが寒いと感じたらいつでもゾウ舎の中にはいることができるように戸を開けていて、出入りを自由にしているんですよ。
だから普段と違う様子に、ちょっと興奮してて。
紗希ライター:
そうだったんですね。安心しました。
小田原飼育員:
「寒いから中に入りなさい」と私たちが決めるのではなくて、ゾウが自由に選択できるようにしてます。
紗希ライター:
なるほど。そうやって戸を開いておくことで、ゾウに選択肢を用意してあげているのですね。そして、ゾウも人間と同じように、普段と違う事を敏感に感じ取り、不安に思ったりするのですね。ゾウと人間は言葉や文字で会話をすることはできませんが、想像力を持って常にゾウを思いやることで、信頼関係を築いているのだなと思いました。
小田原さんから、ゾウへの接し方について聞いていると、なんだか私たち自身の「家族やパートナーとの信頼関係の築き方」について聞かせて頂いたような気がします。
小田原さん、今日はお忙しい中、ありがとうございました。
小田原飼育員:
ありがとうございました。
あなたの人間関係の参考になるかも・・・
いかがでしたか。
今回は「なぜゾウが飼育員の前で足上げトレーニングをしているのか」という質問を通して、ゾウと飼育員との信頼関係の築き方を教えていただきました。
最後に!飼育員の小田原さん直伝の、ゾウとの信頼関係の築き方をまとめてみました!
・なるべく長い時間を一緒に過ごす
・ゾウとおはなしをする
・ゾウのことをよく観察する
・普段の状態を知っておく
・ゾウが自分の意思で選択できるよう、環境のサポートをする
「これって、人間同士の信頼関係の築き方と一緒なのでは?」と感じませんか。
私たちも、飼育員が日頃から心がけていることを意識すれば、ゾウと飼育員のように、自分のパートナーや家族とより良い関係が築けるのかもしれません。
それを知るためにも、徳山動物園に来た際はぜひゾウと飼育員の信頼関係に注目してみてください。
記事・写真:周南市市民ライター 塩田紗希,村上大岳,三牧ちひろ,畑岡心
執筆時期:2021年12月
※本記事の情報は掲載時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新の情報は、情報スポットへお問い合わせください。
※本記事に掲載されている写真や本文の無断転記・無断使用を禁止いたします。