意外と知らない動物たちのお食事事情!飼育員に聞いてエサ代ランキングを作ってみました
エサ代が一番かかる動物ベスト3発表!
各1頭、1ヶ月分のエサ代で飼育員さんに聞いた結果、ランキングは以下の通りとなりました。
1位:ゾウ(15万円〜18万円)
2位:カバ(7万円〜)
3位:トラ(〜3万円6千円〜4万5千円)
ちなみに、3位以降のエサ代はだいたい同じ金額です。
このランキングを作るにあたって、実際に飼育員さんに、徳山動物園にいる動物たちのお食事事情について色々聞いてきましたので、ご紹介いたします。
エサを与えるタイミングに隠された飼育員の努力
エサを与えるタイミングは2通りあります。
時間を決めてエサを与える方法
1日中置いておき動物に自由に食べてもらう方法
徳山動物園で飼育されている動物の食べるものの、99%は飼育員が与えています。野生動物は1日を食べる物を探し出すことに費やしていますが、動物園の動物は必要なエサは与えられるので動く必要がなく、太りやすくなったり退屈な時間が多くなります。我々人間と一緒ですね(笑)
動物の健康の為や退屈な時間を減らす為に、飼育員の皆さんは与えるエサをわざと隠したりしています。エサを隠すことで、動物の大切な五感の1つ「嗅覚」を鍛えたり、エサを探すために体を動かしたり、エサを探し出す楽しさを感じられるように工夫しています。
その結果、動物たちの運動量が向上して肥満防止にもつながっています。また、秋には冬に備えて脂質や栄養の高いものを与えるなど、季節によってエサの内容を変えるといった飼育員さんの苦労が伺えます。
エサの仕入れ場所
徳山動物園のエサ代は年間1,800万円になります。1ヶ月では150万円、1日に換算すると5万円になります。
エサは、周南市の予算以外にも、地元スーパーから賞味期限の近いものを頂いたり、農業大学校から無償で提供していただいたりしています。
特に野菜は、その年の気候の良し悪しによって価格の変動に大きく左右されるので、地元スーパー、現産地からの直送、農業大学校からの無償提供は本当に助かっていると、飼育員さんは語ります。他にも、産地から直接購入することで、安く安定して入荷できるものもあります。
また、大変ありがたい事に、心優しい方からエサの寄付をいただくこともあります。ご寄付いただける際には徳山動物園へ事前に問い合わせて頂けると大変ありがたいとのことです。
知られざるエサの内容
さてここからは、はじめに紹介した上位3位の動物たちのエサについて迫ります。
1位のゾウは、1ヶ月に約15万円〜18万円ほどのエサ代がかかります。エサの主な材料は干し草・青草・果物・野菜・ペレットです。
数ある動物の中でゾウがダントツ1位の理由は、
ゾウが動物園の中で最も大きく、その分食べる量も多いから
です。草食動物より、肉食動物のほうがエサ代がかかるイメージがあったのですが、近年の異常気象の影響もあり、野菜・果物等の価格が変動し不安定になることで、予想以上にお金がかかることもあるそうです。
2位のカバのエサ代は多くて7万円ほど。カバは草食動物なので、エサは主に青草や干草など。
カバはYouTubeやインスタグラムでスイカを食べていたのが、迫力があって印象的だったことを覚えていたので、この機会に飼育員さんに聞いてみましたが、スイカは普段は与えませんとのことです。大きな物も一口で食べられるという、カバの迫力ある様子を楽しんでもらうために誕生日などの特別な日にあげているんだそうです。
3位のライオンのエサ代は3万6千円〜4万5千円ほど。エサは主に馬肉(600円/キログラム)、鶏肉(300円/キログラム)など。肉は年間契約で仕入れているため、エサ代の価格をある程度安く抑えることができています。
そうした動物たちのエサを準備する台所も、今回特別に見せて頂きました。材料を切る包丁だけでもなんと10種類以上!大型冷蔵庫や冷凍庫もあり、台所の広さに圧倒されました。
動物と飼育員との相性
人間と一緒で、動物と飼育員のあいだにも相性があります。すぐにその動物の個性や性格を理解できる動物もいれば、理解することに時間がかかる動物もおり、そこが飼育員さんの悩みの種になるときもあり、理解できた時はやりがいを感じるところだそうです。また担当する動物は状況に応じて代わるんだそうです。
エサやりでの苦労
徳山動物園にいる動物の中でも、鳥類は環境に馴染みにくく慣れるのに時間がかかります。無理にエサを食べさせようとすると、鳥たちにプレッシャーを与えてしまうため、食べさせたい時は口の中に直接エサを差し出し、少しずつ与える方法で慣らしていきます。
また、動物も人間と同様で便秘や下痢になる場合もあり、体調を崩すこともあります。そんな時は「スポーツ飲料」を与えることもあります。
最後に感謝とお礼
12月18日(土)取材日当日は、前日に雪が降り、寒さの厳しい中での取材となりました。そんな中、徳山動物園の飼育員・重永さんは快く、時には目を輝かせ、時には照れくさそうに丁寧に私たちの取材に応じでくださいました。
本当に心から動物が好きな方なんだなあ・・・
と感じ、優しさにあふれていました。純粋に動物たちを愛し仕事をされている姿は本当に素晴らしいと思いました。重永さん、大変お忙しいところ貴重なお時間を頂きありがとうございました。
いかがでしたか?
動物たちの中で一番餌代がかかっているのは誰だろう?という純粋な疑問から始まったこの取材。進める中で、私たちが知らない徳山動物園の裏側を覗くことができました。
新たな視点で歩く動物園はまた違った魅力を私たちに届けてくれるかもしれませんね。
記事・写真:周南市市民ライター アッキー,岡寺政幸,山田
執筆時期:2021年12月
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